To Far Away Times

間接的自己紹介

あるある

駅前を歩いていると、役所からの放送がスピーカーから流れてきた。どうやら徘徊老人が行方不明のようだった。中立的な女性の声で老人の特徴が伝えられた。性別、年齢、背格好、服装など。特徴を聞いていると、年齢以外はすべて俺に当てはまっているようだった。

その一瞬、俺は自分がその老人になってしまった気がした。自分がどこにいるのかわからなくなった。俺は見知らぬ駅前を歩いていた。きっと家を出る時にはなにかしらの目的を持っていたのだろうが、その記憶はもう無い。さっきの自分を思い出せない。

立ち止まって空を見上げ、我に返り昼飯を食べていないことを思い出して店に向かう。でももしかしたらもう昼飯を食べ終わっているのかもしれない。そうなることだってありえるのだ。