To Far Away Times

間接的自己紹介

オニドリルコイルレアコイルの部分が好き

チキン南蛮チキン南蛮みたいな歌流行ったらしいんだけど、全然わからない。わからないというのは、理解できないという意味ではなくて、知らないという意味だ。そういう歌がこの世に存在して、さらに民衆に広く受け止められていることを知らない。うっせぇわみたいなやつのときもわからなくて、最近の流行りの歌はわかんねぇなあって思ってたんだけれども、そもそも流行りの歌なんて大昔の子どもの頃からほとんどわかってなかったことに思い当たった。その頃俺は、FF6とかもののけ姫とかのサントラをカセットに録音して聴いていた。FF6妖星乱舞は入ったが、その後のエンディングの曲『蘇る緑』が長すぎて途中で録音が終わってしまったことを今思い出した。悲しかったなあ。流行りに疎かった俺は(今も疎いけれど)、当時友達を呼び出して、小声で「…MDってなに?」と聞いたこともある。流行っている音楽はわからないけれど、俺にも好きな音楽はある。

例えば俺はthe pillowsが好きだ。GOMES THE HITMANも好きだし、キンモクセイ音速ラインも好きである。好きになったものはとことん好きになるのか、とにかく繰り返し聴く。しかし広がっていかない。したがって、the pillowsは好きだけれども、全曲を網羅して知っているわけではない。ピロウズについてはたぶん知らない曲の方が少ないと思うけれど、音速ラインとかキンモクセイについては数曲くらいしか知らない。知らない曲の方が多い。でも好きだ。そういう、少ししか知らないけれど好き、というのはある。

好きになってくるとその役者の出ている映画を片っ端から観るというのを昔やっていた。アンハサウェイ、ナタリーポートマン、エレンペイジ(今はエリオットペイジだ)、蒼井優妻夫木聡。でももちろん、全部を観たわけじゃない。この、好きだからいっぱい聴いたり観たりすることって、多かれ少なかれあると思う。このメーカーのゲームが好きだからいくつかやる、このメーカーの化粧品が好きだからそろえてみる。いろんなことがそうだ。でも、誰もそんなこと言ってないかもしれないけれど、「詳しくないと好きって言っちゃダメ」というような強迫観念みたいなものを感じることがある。本当に誰にも言われたこともないのに。たぶん、というか絶対、好きって言っていい。だって留保無しに好きなんだから。

こう書いていて思い当たったんだけど、たぶん苦しめているのは昔の俺なのかもしれない。好きな役者が出ている映画は片っ端から観た。好きな作家の本は小説もエッセイも全部読んだ。好きな漫画家のマンガは連載の単行本から短編集まで全部集めた。それで、自信を持って好きと言っていた。そういう昔の俺が、お前、それだけしか知らないのに好きと言っていいのか?と問いかけるのかもしれない。そんな俺は今、発売したばかりの、プレイしたことすらない、なんなら前情報もほとんど知らない、ユニコーンオーバーロードというゲームが好きだ。やったこともないのに。気になっているとか楽しみとかいうレベルではない。好きだ。
好きな子の、彼氏彼女の、夫の妻の、全部知らないといけないのか。絶対そんなことないもんね。