To Far Away Times

間接的自己紹介

薪を抱きて火を救う

俺が死ぬほどストレス溜っている時にスーパーに行ったら、『ストレス軽減チョコ』なるものが売ってて、買って食べたらストレス減った実感なくて、逆にそのことによってストレスが溜まった話をしようか。

 

それはもう数年前の出来事だった。仕事に疲れて仕事はおろかプライベートもボロボロになっていった頃だ。

当時、仕事の買い出しで大型スーパーに行く用事があった。文房具だのなんだのを買い揃えレジに並んでいると、そこに件のチョコが並んでいた。(確かな商品名は覚えていないので調べてみた。「事務的な作業による一時的・心理的なストレスを低減する『メンタルバランスチョコレートGABA』【ビター】」というものであるらしい。)藁にもすがる思いでそのチョコを手に取り購入した。生真面目な俺は買い出しの商品とは別に会計済ませ、帰りの車に乗り込みそのチョコの封を開けた。丸く食べやすい形状のチョコだった。指にチョコがつかないように、なんだか知らない技でツルツルにコーティングされている。一つ手に取って口に放り込む。舌ではすぐに溶けないので噛んでみる。固めの食感ビターと書いてあるだけあって甘さは控えめだ。不味く無い。美味いかと言われると微妙なところだが、不味くは無い。

しかし前提として、俺はチョコを食べたくてそのチョコを買った訳ではなかった。ストレスを減らしたくて、その文言の書いてあるものを買ったのだ。たまたまチョコであっただけで、別に飴やグミ、バナナだってセロリだってひのきのぼうだってなんでも良かったのだ。パッケージには1日5粒が目安と書いてあった。大抵のストレスに悩んでいる人同様、自分の抱えているストレスは一般のそれよりも大きなものであると思っていたので、もちろん5つ以上食べた。

それからその日の仕事に戻り、仕事を終え、家に帰って自分の時間を過ごし、寝て、朝起きても、ストレスが減っている実感を得ることはなかった。仕事に出る為に車に乗り込むと、昨日買ったチョコが置いてあるのを目にした。そのストレス低減させるというパッケージの文句を見て、反射的にイライラが湧いてくるのがわかった。脳みそが熱くなっていくのがわかった。ハンドルを何度か両手で殴り、ヘッドレストに頭を何度も打ちつけた。あああああと大きな声も出した。外から見たら完全に不審者だ。

 

そんな話。